CFRPの用途例と
求められる特性
各分野における
CFRPの製品例
炭素繊維強化プラスチック（CFRP）は当初、軽量かつ高強度・高剛性の特長で、スポーツ用途と人工衛星などの限られた製品に使われました。1990年代からは異方性を持つ炭素繊維強化素材の優れた特性を生かして工業用ロールなど産業用途への使用が広がり、さらに認知が進みました。
また、高強度グレードに加え、高弾性率グレードや超高強度中弾性率炭素繊維の開発・商品化によって、CFRPはPAN系とピッチ系炭素繊維（CF）を生かした複合材料として、航空機機体の構造部材や新規産業用途への更なる拡大が実現しています。
| 分野 | CFRP製品例 | CFの種類と特徴 |
|---|---|---|
| 航空 | 航空機（主翼、尾翼、胴体） | PAN、高強度、耐疲労性、耐熱性 |
| 宇宙 | 人工衛星（構体・トラス、アンテナ、ソーラーセルパネル、バッテリーケース）、 電波望遠鏡（アンテナ、トラス）、ロケット（衛星フェアリング、段間部） |
PAN、高強度、耐疲労性、耐熱性 |
| 自動車 | レーシング・スポーツカー、プロペラシャフト、ボディ骨格、外板パネル、鉄道車体、台車フレーム | PAN、高強度、耐熱性、耐疲労性、振動減衰性 |
| スポーツ | 釣竿、ゴルフシャフト、ラケット、自転車、野球バット、弓、マリンスポーツ（ヨット船体・マスト、競技用ボート）、スキー用具 | PAN/ピッチ、剛性、耐候性、振動減衰性、耐疲労性 |
| 建築・土木 | コンクリート補強（橋脚、床版）、ケーブル、ロッド | PAN/ピッチ、高強度、剛性、耐候・腐食性 |
| 環境・エネルギー | 風力ブレード、CNG/水素/空気タンク、フライホイール、油田掘削ライザー・パイプ | PAN/ピッチ、高強度、剛性、耐腐蝕性、耐疲労性 |
| 電子・音響 | ノート・タブレットハウジング、 プリンター部品、オーディオ部品 |
PAN/ピッチ 高強度、剛性、振動減衰性、電磁波シールド性 |
| 医療・介護 | 天板、カセッテ、手術用部品、車いす、杖人工骨、介護機器 | PAN/ピッチ 高強度、剛性、X線透過性、耐疲労性 |
| 産業機械 | ロボットアーム、工業用ローラー/シャフト、板バネ、繊維部品 | PAN/ピッチ 剛性、耐疲労性、振動減衰性 |
| その他 | 傘、カバン、家具（テーブル、イス）、楽器、樹脂型、メガネ | PAN/ピッチ 高強度、耐疲労性、耐腐蝕性 |
未来の世界で活躍する
CFRP
移動の革命
地球に優しい低炭素化車の開発が益々積極的に取り組まれています。100gでも軽くするためにCFRPは有効な金属代替材料として採用が拡大しています。2023年の事業化を目標として国家プロジェクトで進められている空の移動革命、「空飛ぶクルマ」の実現にもCFRPは必須の素材として期待されています。
最先端エネルギー
再生可能エネルギーとして世界で急速に普及が拡大している風力発電は、日本では台風などの厳しい環境に対応したCFRP/GFRPのハイブリッド構造で、洋上大型機の計画が進められています。その他の産業分野では、既存の材料（金属）から脱却により、製造プロセスにおける生産効率化や、未来に生きる製品開発のため、CFRPの活用が検討されています。
